竹林の酒造り
日本酒の原料は米。ただし米といっても、酒造り用の米は普通に食べるお米とは異なります。酒造好適米とよばれる酒専用の品種です。丸本酒造では酒造りの最高峰と呼ばれる「山田錦」を育てています。
米の外側を削って小さくします。お米の外側には雑味が多いためです。ピュアな味わいの日本酒を造るために必要な、大変、贅沢でデリケートな作業です。そのため自ら栽培した大切な酒米は、すべて蔵内に設置した高品質の精米機を使い、非常に高い精度で精米しています。精米にかかる時間は、70%磨くのに12時間。50%では48時間、35%になると80時間もかかります。「蔵は古いが設備は最先端」大切な酒米だからこそ、自らの手で丁寧に磨き、酒づくりに生かしています。
日本酒に使う米は表面を大量に削って精米しています。通常の米より、水を吸うスピードがとても早いため、純米、純米吟醸、さらに純米大吟醸は、秒単位の精度が求められます。その結果、吸水は0.3%未満という誤差に押さえ込むことに成功しています。水は8℃に調節した地下水を使用しています。
「蒸しを制するものは酒を制する」と言われるほど、この段階でどんな酒になるか決着がつく重要な工程です。正確に温度コントロールされた蒸気で丁寧に蒸しあげます。
蒸し上がった米は適温に冷まします。米どうしが固まりにならないように、丁寧に手でパラパラとほぐし、均一に広げていきます。
蒸し米に、麹カビを生やします。麹菌の持つ酵素の働きで蒸し米が溶け、蒸し米のデンプンが糖に変わります。微妙なコントロールが必要な作業で、温度、湿度、重量を24時間、コンピューターで管理しています。0.1%単位の水分量を監視しつつ、手で触り、麹の様子を目でチェックして、感覚による判断と併行し、最良の麹になるようコントロールしています。できた麹は徹底した分析を行います。
米麹と蒸し米と水をタンクに入れてよく混ぜ、そこに酒母(酵母)を入れます。蒸し米が溶けて出来た糖が、酵母の働きでアルコールに変わります。仕込みは6℃で行いますが、その後の発酵期間は約1ケ月にわたり、もろみ1本1本の個性に合わせ管理を行います。
発酵が静かになったら、「槽(ふね)」と呼ばれる袋に入れます。横にして重ねていき、上から圧力をかけることできれいな酒(液体部分)と酒粕(個体部分)に分けることができます。この作業を「搾る」といいます。「槽」による搾りは、優しく圧力をかけて自然に濾すことができるので、上質な酒質作りに向く方法です。